夏らしい
エアコンのスイッチを入れることで私の夏が始まりを告げた。おそらくエアコンのスイッチを入れなくなることが、私の夏の終わりの合図だと思う。
海とか山とか、私のいるところの半径10km以上先のことはすべてどうでもよく、陽射しを浴びる必要がない時は常に涼しい風に吹かれていた。私にとっての夏の風物詩とは、エアコンと扇風機をつけながらアイスを貪り、窓から夏の空を眺めて「今日も暑そうだ」と呟くことなのである。
東京の夏の風情は私の肌に合いそうにない。どうせ外に出るなら、どんな時でも冷房の効いた電車に乗るよりも原付で田んぼ道を走った方がいい。
どんな日でも走らせれば涼しいはずの二輪車に乗ってても涼しくならない日が実は好きだった。電車の弱冷房車では、私は暑さしか感じられない。