天啓観測

Hi zombies!

没落


 最も幸福だった時を思い返してみてほしいのです。その時、君はおそらく自分が虐げられているとも、この世に差別が存在するとも思わなかったことでしょう。奴隷として産まれた子も、自らが支配されていると気づくまではその認識の上で一定幸福だったといってもいいと思います。補足するまでもないでしょうけど、だからといってそれがあっていいという話ではありません。

 不平等を知るまで君は幸せでした。人生の最も栄えある時期です。しかし被差別・被支配を知ってしまった時、その栄光はまさに没落しました。

 そう、「没落」とはそういうことです。喜劇的な人はこの没落を無視しようとします。それでもこの中で幸せを探すのだ、と。しかし君たちは?

 君たちはなぜ不平等に対し不平等だと叫び、支配に対して支配だと叫ぶのか。これがこの没落の重要な部分です。叫ばなければ、そもそも気づかなければ、その身体に、精神に傷は付けられなかった。しかし君たちはあえて気が付き、あえて叫んだ。あえて、可哀想に、怪我をした。それはなぜなのか、いま一度考えてみてほしいのです。重要なことだから。

 君たちは君たち自身が、そしてその子供たちが、世界の人が、それに虐げられていることに我慢がならないのです。だからあえて気づき、叫んだ。そう、没落した。

 人は常々、最下層に没落し、その最下層で闘争を続けるべきです。その気づきが、叫びが、没落が、意味を持ち「価値観」と呼ばれ貴ばれなければならないから。

 没落は神秘の認識である。人が、もう一歩先へ進むための、すべての詭弁ありきの価値観から逃れるための。没落が行き過ぎ、仮に今度は支配の側に立とうとすれば、今度は別の没落がある。そしてまた闘争が起こる。それを血眼にして見ていた人々は、より良く、または折衷された部分を選び取る。



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