天啓観測

Hi zombies!

青い髪の女を集めよ

 王は仰せられた。「髪の青い女を集めろ」。臣下は逆らうすべもなく、にべもなしに従った。王は自身の赤い髪が大層嫌いでいらしたが、まずは誰もそこに理由があるなどと思いもしなかった。

 数奇な勅命はその執行に難を要したが、仕事の早い部下たちは国のありとあらゆるところから、王の遣いだと名乗り青い髪の女を集めてきた。臣下は尋ねた。

「連れてきた女を座間に通しますか」

 王は首を振った。否、画家の元に送れ。宮廷画家の部屋には、数十人という女が、わけも分からず送られた。女たちは怯えるどころかひどく落ち着いていた。自分らの集められた理由は分からないにしても、共通点はすぐに見つかっていた。どうもみんな頭が青い。

「顔料がないんだよ」
 画家は言った。
「青がないんだ」

 画家の目の前には、髪の部分だけが白い、王の写実的な肖像画が置かれていた。

「王は仰せだった。余の髪は青く塗れと」