天啓観測

Hi zombies!

流星群とギター

 幼い頃から天体観測が好きで、たぶん真夜中に母にドライブに連れられて、どっかの小高い丘から満天の星空を見た頃からだと思うんですが、その趣味というのはもうずっと揺るがなくて、今やもう大昔である中学生時代もそうだったのです。


 近くに山みたいな公園があって、よく夜中に家を窓から抜け出しては、星を見に行っていました。隠れなきゃいけないのは、補導対象だから。


 流星群が来るような日はもとより、なんもない快晴の日にもそうしていました。特に冬の夜空が澄んでいて大好きだった気がします。それは今もそう。


 ただひとりで行くのにも飽きてきたので、ある日から同じ地区に住んでる同級生の子を誘って行くようになりました。みんな星が好きだったのか、特に断られた記憶はありません。二つ返事でよし行こうと、言ってもらった気がします。


 その子と何回かそうして天体観測をしていると、ある日その公園でアコースティックギターの音が鳴っているのに気が付くのです。気が付いていながら、私たちはくだらない話、今でも覚えているんですが友人が靴下を何故か履いてこず「こんな真冬に靴下履かないことある?」というやり取りで爆笑していました。


 しかしどんなに気にしないようにしてたって、ギターの音は気になります。そりゃ、中学生ですから。ギター弾ける人なんてもんは英雄ですよ。そんなかっこいい楽器弾けるなんてもう“ずる”じゃん。


 結局私たちは徐々に近づいていって、「こんばんはー」と話しかけるわけです。今思えばまあずかずかと、よう行ったなと思うわけですが、その方も気さくな男性で、図々しくも話しかけてきた私たちを受け入れてくれたのです。

 

 真冬の快晴の、澄んだ空気の闇の中に星が見える夜で、小高い公園のベンチに、ギターをかき鳴らすお兄さんと私と友人とで、そりゃ絵になる時間でした。

 

 話すうちに、その人はどうやらこの地域を中心に二人組でバンドをしているらしいことが分かって、それを知ったからどうというわけでもなく、その日はそれでお互い夜遅いしってことで解散したんですよね。

 

 後日そのバンド名で検索してみると、YouTubeの動画が引っかかりました。はて、再生数とか評価がどうだったかは覚えていませんが、曲自体は結構良かった気がします。


 私はコメントを残そうと思って「この間はギター聞かせてくれてありがとうございました。応援してます!」と書き込んだんですよね。律儀にも、中学生のお子様にその人は「おお、あの二人ですね!ありがとうございます、また聴いてください!」なんて返してくれた訳ですが、

 

 中学生ってのも移り気なもんで、その人の事なんてしばらくしたら忘れてしまったんですよね。特に、冬の間は公園に行くたびに思い出していたかも知れませんが、春に山に登ると虫が出るし、夏なんか外に出たくないしで、記憶が残念ながら呼び起こされませんでした。


 ただ何回目かそうして冬を越していると、ああそういやそんなことがあった気がする。と、思い出すわけです。記憶だけを頼りに検索をかけるとブログがヒットして、最新の記事を見てみると、それは二年前くらいで止まっている。


 はて、と開いてみると、ただ短く「音楽性の違いで解散することになりました」と。それだけの文章に、なんか色々あったんだろうなとまたあの夜のことを思い出して、流星群が来ると聞く度にその夜のことを思い出します。


 諸行無常というか、世の中のものは大抵取り留めもないなと思ってしまう。流れ星なんて、まさにそれで。

 

 ペルセウス座流星群、二年連続曇で見られず。

 

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