ルサンチマンの逆

　私はルールを守ることで守らない人に精神的な復讐を図るところがあって、例えば赤信号で一人だけ立ち止まって周りの人間がそれを無視して行くのを見て「愚民が」と思って、それでスッキリしてる感じがあったんですけど、これってルサンチマンの裏返しなんですよね。

　ルサンチマンが弱者による強者への無力からする意志の歯ぎしり、つまり強い何かを見て強さを否定し、自分たちの方が正しいと思うことで精神的な復讐を果たすということだとすれば、私のやっていることはまさにその裏返しで、赤信号だけじゃなくて仕事が出来る出来ないとか、勉強が出来る出来ないとか、学歴が高いとか低いとか、そういうことで自分より弱いものを見下し、奢ることがあるなと思うのです。

　しかし、どう考えても本当に自分が何かにおいて強者なのであれば、見下し奢るのはやはりルサンチマンの裏返しで、超人的ではないのです。自分より強い人を妬むことをしなくなるということができたのに、それと表裏一体の行いを自分がしていたことに気づいてしまったから、まあまあショックだったんですけど。

　弱者にとって重要なのは、力を持つものを妬み否定することではなくて、強者をより高みへ昇るための目標として設定することであり、逆に強者のすべきことは弱者を見下すことではなく、励まし、より高い人間になるための目標になるべきなのです。