反差別主義者のボブが『ファミリーガイ』を見て笑うのはおかしいことじゃね???
ボブって誰? いや、架空の人物でございますが、彼は事実として反差別主義者です。不寛容に対して以外は基本的に寛容な典型的な反差別主義者です。
人々は人種によって、あるいはジェンダーによって権利に差があってはいけないと考えているし、本人は絶対に差別をしません。ですが、
彼の趣味は毎日『ファミリーガイ』を観て笑い飛ばすことでした。
この『ファミリーガイ』はまあ調べて頂けたら分かるんですが、ブラックユーモアというか、人種や性別、あるいは国籍やら何やらをネタにする差別的な表現が見られるアニメであります。
あれ? それっておかしくないの? 少し整理して推理してみましょう。以上の要素は以下です。
・ボブは実際に反差別主義者である。
・ファミリーガイは差別的な表現が見られるアニメである。
・ボブはファミリーガイを観るのが好き。
さて、この前提から導き出されると予想される答えはおそらく二つあります。
一つ目 ボブは実際に反差別主義者であるが、ファミリーガイを見るのが好き。
二つ目 ボブは(差別的な)ファミリーガイを見るのが好きなので、実際には差別主義者である。
以上のふたつの推論で、より無理な結論はどちらでしょう。
実際に前提が正しいのだとしたら二つ目の「ボブはファミリーガイを見るので、実際には差別主義者である」が無理な結論だということは自明の理でしょう。
ではこの推論からの正しい結論は「ボブは反差別主義者であるが、ファミリーガイを見るのが好き」である。
しかしこの結論がいかに正しかったとしても、疑念が残る。
反差別主義者であり、差別的なブラックジョークを好むという二つの要素は共存するのだろうかと。
もうひとつ例があります。
・ジェームズは人が血を流し争う戦争が嫌いである。
・戦争ゲームでは殺し合いをするような表現が見られる。
・ジェームズは戦争ゲームが好き。
この推論も導き出されそうな結論は二つあります。
一つ目 ジェームズは戦争が嫌いではあるが、戦争ゲームが好き。
二つ目 ジェームズは戦争ゲームが好きなので、戦争が好き。
こちらも前提が正しいのだとしたら、二つ目の結論には無理があります。何故ならジェームズは戦争が嫌いと前提にあるからです。
ボブは反差別主義者だから例えファミリーガイを見ても反差別主義者であり、ジェームズは戦争が嫌いだから例え戦争ゲームが好きでも戦争が嫌いなのです。
それぞれは一見相反する要素を持っていますが、前提が正しい限りは以上であげた結論に終わります。
つまりファミリーガイが好きな反差別主義者もいるし、戦争ゲームが好きな戦争嫌いもいる、ということです。
仮に「戦争ゲームが好きな人は全員戦争も好きだ」という前提があったとしましょう。しかしこれは帰結を含んでいないので、前提の誤り、つまりこれはジェームズの存在で否定されてしまいます。
もちろん「ファミリーガイを見るやつは全員差別主義者だ」という帰納的な前提もボブの存在で否定されてしまいますね。
と、帰納法アンチをしたところでそろそろ疲れたので今日は終わります。次回は『反差別主義者がファミリーガイを見て笑うのは矛盾じゃね??』についてお話していきましょう。それではさよなら!
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