天啓観測

Hi zombies!

塾のJCが辞めた……


 塾の先生になって初めて担任として付くことになった時にはまだ小学四年生だった女の子の生徒が、立派に受験をやり遂げて中学一年生になり、不安だった英語もテストで好スタートを切れたので、一旦お世話になりましたと巣立っていったのが、私には嬉しさひとしお寂しさひとしおといった感じで、少しアンニュイな気持ちになっています。

 大人びた子、という評価を大人から貰っているからそう振舞っているタイプの利口な子だったけど、私がちゃらけているので引っ張られるようにして私には小学生的な態度を取っていてくれたんじゃないかな、と思ってはいるんですが、そう、じゃんけんをよく挑んできたんですよ。何か賭けてるわけでなく、遊びとしてのじゃんけん→あっち向いてホイをして、私は何を最初に出しがちだ、というようなことを毎回のように授業中していたんですが、今日が最後だったからかわかんないけど、何回もそれをせがんで来て、その度にああだのこうだの言ってたんですよ。

 なんか、思えば、さっきも言ったように、大人びた子と評価をされているから大人びた子であるその子が、実際に大人になる上で、たぶんただ遊びのためだけに大人にじゃんけんをせがむっていうのが、私で最後だったんじゃないかと思う。それが寂しい。たぶん仮に塾を続けていたとしても、中二中三になってまで子供らしい振る舞いを私に見せてくれるとは思えないけれども、私が三年とちょっとの期間、わがままを言って八つ当たりしても、なんとなく許してくれる大人であれたのが、何らか彼女の人生において意味があればと思わずにはいられないのである。将来、どんな考えを持って生きるのかについて特に気になる人だった。

「もう二度と会わないじゃんね」と冷たく言い放つ割に、ツーショットには応じてくれるその感じ。いや、そう、二度と会わないけど、おそらく世界が回ってきた時、先生ができてよかったと思える理由になってくれたのが、私には何より嬉しい……。